親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について



親から子など親族間で不動産の譲渡を行うという事は珍しいことではありません。不動産の譲渡を行う場合、贈与もしくは売買のいずれかによって行われることになります。

贈与であれば、当然、贈与税の課税対象となるわけですが、売買であっても贈与税を納めることになる可能性があります。贈与ではないにも関わらず贈与税が課税されることを「みなし贈与」と言います。

今回は、不動産の親族間売買に伴うみなし贈与についてご紹介します。

1.親族の範囲

親族という言葉を聞いたとき、どこまでの方を親族とイメージされますか?

民法では親族の範囲をきちんと定めており、税制にからむ親族はすべて、民法で定められた範囲の方を指しており、「六親等の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」となります。

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

つまり、上記の図で示された身分の方同士での売買が親族間売買に該当します。

2.贈与とみなし贈与

贈与は、財産の無償移転を言い、財産を渡す人を贈与者、財産を受け取る人を受贈者と呼びます。1年間(1月1日~12月31日)に受贈者が受ける贈与が110万円を超えなければ贈与税は課税されませんが、110万円を超える場合には、超えた金額に対して贈与税が課税されます。この110万円の基礎控除を適用する贈与を暦年贈与と言います。

一方のみなし贈与は、本来の贈与に該当しない状況であっても、贈与があったものとみなされるということになります。贈与とみなされた金額が110万円を超える場合には、贈与税の課税対象になります。

3.みなし贈与と判断される親族間売買の例

親族間売買はいわゆる譲渡という形になり、金銭のやり取りが発生します。

そのため、本来は贈与税の課税対象とはならず、売却した人に利益が生じた場合には、譲渡所得税が課税されることになります。しかし、親族間売買の場合には、通常よりも低い金額で売買が行われることがあります。

本来の評価額に対して、著しく低い金額で売買が行われた場合、評価額と譲渡価格の差がみなし贈与と判断される可能性があります。

例えば、評価額3,000万円の不動産を1,000万円で父から子に譲渡した場合、その差額であれる2,000万円は父から子に贈与があったものとみなされる可能性があるということです。

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

親族間で不動産を売買する際には、評価額と譲渡額に大きな乖離が生じるような金額でのやり取りは避けるようにしましょう。適正な価格での取引であればみなし贈与と判断されることを防ぐことが出来ます。

不動産の適正な価格を判断するためには、不動産鑑定士に依頼して正確な価値を評価してもらう方法の他、不動産会社に査定を依頼するということもひとつです。

4.親族間で不動産を譲渡する場合は売買と贈与どちらが得?

親族間で不動産譲渡を行う場合、贈与と売買どちらが課税される税金を抑えることができるのか、比較してから検討することも大切です。例を使って、贈与と売買で課税される税金の金額を比較してみましょう。

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

(1)贈与と売買で課税されるのはどちらか

贈与と売買では課税される対象が異なりますので、改めて確認しておきましょう。

-父から子へ不動産を贈与した場合-

贈与による譲渡では、贈与を受けた受贈者に対して贈与税が課税されます。つまり、父から子へ不動産の贈与を行った場合には、贈与を受けた子が贈与税の課税対象者となります。

-父から子へ不動産を売買によって譲渡した場合-

売買による譲渡では、売却によって得た譲渡所得に対して、所得税が課税されます。父から子へ不動産を売却した場合、売り主である父が譲渡所得税の課税対象者となります。

(2)贈与によって課税される贈与税

上記の例で贈与によって不動産を譲渡する場合には、2つの方法で贈与を行うことが出来ます。

【暦年贈与による贈与】

暦年贈与では、110万円の基礎控除がありますので、3,000万円-110万円=2,890万円が贈与税の課税対象となります。

贈与税率には一般税率と特例税率の2つがありますが、今回は30歳の息子が贈与を受けることになりますので、直系尊属から20歳以上の子への贈与ということで特例税率が適用されます。

暦年贈与による贈与税額は2,890万円×45%-265万円=1035.5万円となります。

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【相続時精算課税による贈与】

相続時精算課税とは、60歳以上の直系尊属から20歳以上の子もしくは孫に対して行われる贈与に限り、最大2,500万円までは贈与税が非課税となり、贈与者が亡くなった際に贈与を受けた金額分に対して相続税が課税されます。相続が発生したときに贈与税を精算する制度ということで、相続時精算課税という名前になっています。相続時精算課税は、2,500万円を超えた部分には一律20%の贈与税が課税されます。

つまり、2,500万円までは相続税の課税対象となり、2,500万円を超えた部分は贈与税の課税対象となるということです。

今回の例で相続時精算課税制度を利用した場合、2,500万円を超えた部分、つまり500万円に対して贈与税が課税されます。課税される贈与税額は500万円×20%=100万円となります。

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(3)売買によって課税される譲渡所得税

売買によって課税される譲渡所得税を算出するためには、譲渡価格を設定する必要があります。今回は評価額通り3,000万円で譲渡したと仮定して考えていきましょう。

1:譲渡所得を算出する

まずは、不動産の売却による譲渡所得を計算する必要があります。譲渡所得の算出式は下記の通りです。

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取得費は譲渡する不動産を取得したときの費用となりますが、不明の場合には譲渡価格の5%で計算することが出来ます。今回は取得費不明のため5%で計算します。

3,000万円-(150万円+0)=2,850万円が譲渡所得となります。

2:譲渡所得税額を算出する

譲渡所得税は不動産の所有期間によって税率が変わります。所有期間のボーダーは5年となり、5年以下の場合には短期譲渡所得、5年を超える場合には長期譲渡所得となります。

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

今回の例では、不動産の所有期間は7年となり、長期譲渡所得に該当します。そのため、先程算出した譲渡所得2,850万円に長期譲渡所得の税率をかけて税額を算出します。2,850万円×20.315%=約579万円となり、譲渡所得に対して課税される譲渡所得税は約579万円となります。

(4)贈与と売買の税額の比較

では、上記で算出した税額を比較してみましょう。

親族間で不動産を売買する際には注意が必要!親族間売買とみなし贈与について

税額だけで比較すると相続時精算課税を利用した贈与が一番、税金を抑えられますが、相続が発生した際には相続税の課税対象となるため、一概に一番低いとは言えませんが、贈与時点での子の負担を軽減させるという意味では相続時精算課税による贈与は効果的と言えます。

ただし、相続が発生した際の納税資金を確保するための対策などをとっておく必要があります。

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まとめ

親族間売買では、譲渡価格を著しく低くしてしまうことで、みなし贈与と判断され、購入する側に贈与税が課税される可能性があります。

不動産を親族間で譲渡する場合には、贈与・売買のどちらが良いかをきちんと検討した上で行うようにしましょう。特に、相続対策として不動産の譲渡を検討している場合には、専門家のアドバイスを受けながら進めることをお勧めします。