相続人に未成年--親が代理人になれない場合、特別代理人が必要に

相続人に未成年--親が代理人になれない場合、特別代理人が必要に

相続人に未成年の方がいるケースの解説です。相続の際に相続人が2人以上いる場合には、基本的に遺産分割協議(誰が、どの資産をどれくらい相続するかの話し合い)を行う必要があるのですが、未成年者本人が遺産分割協議に参加することができません。では、未成年者が遺産分割協議を行うためにはどうすればよいのでしょうか。

 

1.未成年者が遺産分割協議を行うためには、代理人が必要に!?

相続人に未成年--親が代理人になれない場合、特別代理人が必要に

前述の通り、遺産分割協議には未成年者は参加できません。そのため、もし相続人に未成年者がいる場合に遺産分割協議を行うためには、代理人を選定する必要があります。

※遺産分割協議詳細はこちら→意外とモメる遺産分割【遺産分割協議とは?】

※相続人の決定方法はこちら→5分でわかる!相続する人(相続人)って誰?

2.未成年者の代理人は誰を選定?

原則、未成年者が、財産上の法律行為(遺産分割協議も含む)をする場合には、父もしくは母といった親権者が法定代理人として手続きを行うというルールがあります。

しかし、この通りに未成年者の代わって両親のどちらかが代理人となって遺産分割協議を行った場合、以下のような望ましくない状況になる可能性があります

【具体例】

  • 15歳の子

上記3人の家族で父が死亡した際の相続人は、母と15歳の子供です。父が遺言を残していなければ、母と15歳の子供で遺産分割協議を行わなければなりません。

15歳の子供は未成年なので遺産分割協議に参加できず、親権者の母に代理人を任せたとします。

この結果、母は1人で遺産分割協議を行うことができるため、自分の都合の良いように財産を分配することができてしまいます。

上記の例の状況は、未成年者の子と母とで遺産を取り合う「利益相反」の可能性があり、その場合は子が不利になる可能性が高まります。このような場合には、親権者に代わって未成年者の代理人になる特別代理人を選任することになっております。

この特別代理人の専任は、家庭裁判所で実施してもらいます。上記の具体例では、母が子のために特別代理人を選任するということを家庭裁判所に申立てる必要があります。

まとめると、遺産を取り合う関係の人以外の人間を特別代理人に選任し、遺産分割協議を行う必要がある、ということです。遺産分割協議では、親権者を特別代理人にしてはいけません。

3.特別代理人は誰を選任する?

相続人に未成年--親が代理人になれない場合、特別代理人が必要に

特別代理人は、誰を選任しなければいけないと決まっているわけではありませんので、遺産を取り合う関係の人以外であれば、誰でもできます。友人でも法律上は問題ありません。しかし、実際は税理士や司法書士にお願いするケースが多いようです。

4.特別代理人選任申立ての必要書類と手続き

特別代理人専任の申し立ては、親権者が下記の必要書類を持参し、子の住所地の家庭裁判所(裁判所HP参照)へ行きます。費用は、子1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手が必要になります。切手の料金は、申立て予定の家庭裁判所ごとに違うことがありますので、ご確認してください。

【特別代理人選任の必要書類】

(1) 申立書

特別代理人選任申立書テンプレート

記載例

(2) 標準的な申立添付書類

  • 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 親権者又は未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案、契約書案・抵当権に関する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)等)
  • (利害関係人からの申立ての場合)利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)等)

※ 同じ書類は1通でよい

※ もし,申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は,申立後に追加提出してもよい

※ 審理のために必要な場合は、追加書類が必要となる場合もある

裁判所HP参照

5.特別代理人の選任申立てが認められない場合とは

遺産分割協議内容によっては特別代理人の選任申立てが認められないことがあります。特別代理人の選任申立てをする際には家庭裁判所に「遺産分割協議案」を提出している必要がありますが、その内容次第で認められないことがあることをご注意ください。

では、認められない場合とはどのようなケースなのでしょうか。例えば、遺産分割協議案の内容が未成年者に不利な場合には、特別代理人の選任は認められないでしょう。また、相続人は、法定相続分は保証されているので、もし法定相続分以下を相続するように遺産分割協議案が作成されていれば、選任申立ては認められません。

※相続分についてはこちら→相続分を知らないと本来の取り分が貰えない可能性も!?

まとめ

相続人が2人以上いて、その1人が未成年者であれば遺産分割協議で、かつ、この遺産分割協議を行うためには特別代理人を選任しなけれいけません。特別代理人の選任は、実際は専門家に任せることが多くなります。未成年者が相続人となる場合には、早い段階で専門家に依頼するのが良いでしょう。