相続税で慌てないために。相続の基本を把握しよう!相続情報ラボによる相続と相続税の基本解説!!

相続税で慌てないために。相続の基本を把握しよう!相続情報ラボによる相続と相続税の基本解説!!

平成27年の基礎控除改正により、相続税は一般のご家庭でも関係する可能性が高くなったと言われています。相続税は、財産を所有している方が亡くなり、遺された財産を受け継ぐ方々に課税される税金です。

亡くなった方にしても財産を引き継ぐ方にしても、税金としてたくさん持っていかれてしまうのは悲しいことだと思います。

相続が発生し、相続税を収める段階で「こんなに収めなければならないの?!」という事態を避けるためにも、相続税の基本をしっかり把握し、相続税対策を検討していきましょう。

少し、長い記事になります。ご興味のある項目を目次から選択してご確認ください。

目次

1.相続財産の範囲と相続人

人が亡くなったことによって財産の無償移転が行われることを相続と言い、生きているうちに財産の無償移転が行われることを贈与と言います。亡くなった方を被相続人と呼び、被相続人が所有していた財産は基本的にはすべて相続財産となります。そして、その財産を受け継ぐ方を相続人と言います。

(1)相続財産の範囲

相続財産には、プラスの財産(積極財産)とマイナスの財産(消極財産)があります。こんなものも相続財産に含まれるの?という財産のあるため、相続が発生した際には、まず、相続財産の確認が必要となります。

プラスの財産となるもの

相続財産と聞くと最初に浮かぶのは現預貯金や不動産などではないでしょうか?これらはすべてプラスの財産に含まれます。また、現預貯金や不動産以外にも様々なプラスの財産があります。

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マイナスの財産となるもの

マイナスの財産は主に被相続人の債務等が該当します。プラスの財産と比較して、マイナスの財産が多いという場合には、相続放棄の検討も必要となります。

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相続財産には含まれないもの

被相続人が所有していた財産や権利は基本的にはすべて相続財産に含まれることになりますが、財産や権利の内容によっては相続財産に含まれないものがあります。

下記は相続財産に含まれない財産となりますので、遺産分割の対象外です。

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被相続人が被保険者となっている生命保険の場合、被相続人が亡くなった事に受取人に支払われる保険金は、受取人の固有の財産ということになりますので、民法上では相続財産には含まれないとされています。同じように、死亡退職金も受取人の固有の財産という扱いになります。

しかし、保険金や死亡退職金を相続人が受け取った場合には、税法上は「みなし相続財産」となり相続税の課税対象となります。

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ちなみに、保険金は契約によって課税対象となる税金が異なります。

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祭祀財産とは、家系図や祭具(仏壇や位牌等)、墓地や墓石などが該当します。

これらは代々継承されている財産となり、相続が発生した場合には、相続人ではなく祭祀主宰者へ承継されることになります。従って、相続財産には含まれません。また、祭祀財産は相続放棄をしたい人であっても承継することが出来ます。

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一身専属権は、その人だけが持つ権利義務のことを言います。例えば、弁護士や税理士などの資格や、画家など芸術家の方のその方そのものの価値などが該当します。また、親権や刑罰なども一身専属権に該当します。

(2)相続人の範囲

相続では、亡くなった方を被相続人、財産を受け取る方を相続人と言います。

-法定相続人と相続人の違い-

民法や相続税法など相続に関するルールを定めている法律では「法定相続人」という表現を目にすることがあります。法定相続人とは民法によって定められた「財産を相続する権利を有する人」のことを言います。一方、相続人は「実際に財産を受け取る人」のことを言います。

財産を受け取る人という意味では法定相続人=相続人という考え方は間違いではありません。

しかし、法定相続人は財産を相続する権利を持っている人となるため、相続放棄をした人も含まれます。相続人は実際に相続する人を指すため、相続放棄した人は含まれないという違いがあります。

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-法定相続人の順位-

財産を相続する権利を有している法定相続人は「誰」になるかがきちんと定められています。法定相続人には順位があり、先順位から先に財産を相続する権利を持つことになります。

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被相続人の配偶者は必ず法定相続人となるため順位はありません。配偶者以外は第1順位がいない場合は第2順位、第2順位がいない場合は第3順位となります。

もちろん、実際の相続人はこの通りでないといけないという訳ではありませんが、法定相続人が誰になるかということは、後にご説明する基礎控除などでかなり重要な役割を示します。

ケース別法定相続人の判断

離婚や再婚、養子縁組など様々な事情を持っている方も多いと思います。

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被相続人に離婚歴がある場合、離婚した元配偶者(元奥さんや元旦那さん)は法定相続人にはなりません。(悲しいですが、他人なので仕方ないですね)

しかし、離婚した元配偶者との間に実子がいる場合、引き取ってない状態であっても、第1順位の法定相続人となります。

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ちなみに、子どもが生まれる前(胎児の段階)で離婚していた場合でも、その胎児は第1順位の相続人になります。

お腹の赤ちゃん(胎児)でも相続する権利ってあるの?

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養子縁組をしている子がいる場合、養子縁組によってその子は実子と同じ扱いとなるため、原則は第1順位の相続人となります。

しかし、法定相続人に含むことが出来る養子の人数にはルールがあります。

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つまり、最大でも2人までは法定相続人の人数として数えることが出来ますが、3人目以降は法定相続人の人数に含むことは出来ません(相続人として財産を相続することは出来ます)

相続の際に養子がいる場合の全論点

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法定相続人の大原則は「配偶者」もしくは「血族」となります。嫁や婿は「姻族」に該当するため、法定相続人に含まれることはありません。

もし、嫁や婿に財産を渡したいという場合は、養子縁組によって実子と同じ扱いにするか、遺言などで財産の遺贈を行うことになります。

-婿養子なら法定相続人?-

男性が奥様の姓を名乗ることを「婿養子」と言いますが、婿養子は、婚姻時に奥さんの姓を名乗ることを選び、さらに、婚姻と一緒に奥さんのご両親と普通養子縁組を行います。

養子縁組をしているので、奥様のご両親が亡くなった場合には、相続人として財産を受け取ることが出来ます。また、普通養子縁組の場合には、実父母との関係も変化がありませんので実父母の法定相続人という立場も変わりません。

2.相続税と相続税の計算方法

相続財産の範囲や相続人についてご理解たいだけましたか?次に、相続財産に課税される相続税についてご紹介します。

(1)相続税の基礎控除

相続によって取得した財産に課税される相続税は、比較的大きな金額になることが多く、ご遺族の生活に支障をきたす可能性があります。そのため、相続税には基礎控除が設けられています。

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相続税の基礎控除は平成27年に改正されました。改正前は5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)だったので、大幅に基礎控除が下がってしまいました。この基礎控除の改正によって、従来は富裕層に課税されることが多かった相続税が、一般家庭でも課税される可能性が非常に高くなりました。

例えば、法定相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除が3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。相続財産の総額が基礎控除よりも低い場合には相続税は課税されません。

(2)相続税の債務控除

債務控除とは、相続財産のなかで「プラスの財産」から「マイナスの財産」を差し引くことを言います。債務控除を行ったうえで、相続税の課税対象となる正味の相続財産を算出します。

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-葬儀費用も債務控除の対象となる―

債務控除の対象は、相続財産の範囲でご紹介したマイナスの財産以外に、被相続人の葬儀にかかった費用も控除対象となります。お通夜や告別式等にかかった費用や火葬・埋葬、納骨費用、お寺や僧侶へのお礼の費用などは控除することが出来ます。

受け取った領収書は必ず保管しておきましょう。領収書がもらえない場合には、金額のメモなどを残しておいてください。

葬式費用は相続財産から払える? 相続税が安くなるって本当?

(3)基礎控除・債務控除を踏まえて相続税を計算しよう!

相続税の計算は下記の流れで進めることが出来ます。

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上記の流れを1つずつ確認していきましょう。わかりやすいように例を用いて進めたいと思います。

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正味の遺産総額は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引く債務控除によって正味の遺産総額を算出します。

先ほどの例を単純に考えるとプラスの財産は1億円で、マイナスの財産が700万円なので、9,300万円となりますが、そうならないのが相続税の計算です。

ポイントは2箇所「自宅不動産」と「死亡保険金」

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ポイント1:不動産の評価額

まず、プラスの財産に記載されている自宅不動産は相続税評価額が4,000万円とあります。

不動産は実勢価格(時価)、公示価格、固定資産税評価額、鑑定評価額など状況によってさまざまな評価方法が用いられます。相続によって取得した不動産は相続税評価額が適用されます。

-相続税評価額-

相続によって取得した土地は、路線価方式もしくは倍率方式のいずれかで相続税評価額を算出します。

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建物は、固定資産税評価額×1.0となるため、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

-特例適用を受けるなら、適用後の評価額を用いる-

今回、被相続人のプラスの財産に含まれている不動産は「自宅不動産」です。被相続人が居住用に使用していた自宅不動産は、一定の要件を満たすことで「小規模宅地等の特例」の適用を受けることが出来ます。

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この特例の適用を受けると、自宅不動産であれば330㎡までは評価額を80%減額することが出来ます。被相続人の所有している自宅不動産は300㎡なので、宅地すべてが小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ます。

従って、不動産の評価額は以下のようになります。

土地 3,000万円×(1-0.8)=600万円(小規模宅地等の特例適用により評価減)

建物 1,000万円

不動産の評価額 1,600万円

ポイント2:死亡保険金は「みなし相続財産」

死亡保険金は、民法上は受取人固有の財産となり、相続財産には含まれませんが、税法上は「みなし相続財産」となり、相続税を計算する際には課税対象として含める必要があります。

しかし、死亡保険金や死亡退職金には非課税枠があります。

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例えば、今回の例では、法定相続人は妻(配偶者)と子2人の計3人となります。従って、死亡保険金の非課税枠は500万円×3人=1,500万円です。

つまり、今回、課税財産に含まれる死亡保険金額は相続税の課税対象とはならないということになります。

今回の相続の正味の遺産総額は・・・・

今回の相続の正味の遺産総額は、小規模宅地等の特例の適用を受けた後の自宅不動産の評価額、死亡保険金の非課税枠を差し引いた保険金額となるため、

プラスの財産が、現預貯金5,000万円・自宅不動産(300㎡)1,600万円の合計6,600万円となり、そこからマイナスの財産700万円を控除するので、6,600万円-700万円=5,900万円となります。

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相続税には基礎控除があるとご説明しましたが、課税遺産総額は、正味の遺産総額から相続税の基礎控除額を引いた金額となります。

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今回の例では、法定相続人は3人となりますので、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。従って、課税遺産総額は5,900万円-4,800万円=1,100万円となります。

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相続人毎の課税遺産額を算出するために、各相続人は法定相続分通りに財産を相続したと仮定します。

法定相続分とは、民法で定められている法定相続人の取り分の目安です。実際の相続では、法定相続分通りに相続しないといけないという訳ではありません。

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上記の図の法定相続分を、各相続人に当てはめると以下のようになります。

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配偶者の法定相続分は1/2なので550万円、子は1/2を子の人数で分けるため1/4ずつとなるので、1人275万円となります。

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相続税の計算をするためには、相続税率と控除額を把握しておく必要があります。

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上記が相続税の速算表です。法定相続分に応ずる取得金額が、先ほど算出した法定相続人毎の課税遺産額となります。

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妻の相続税額は55万円、子はそれぞれ27万5,000円ずつとなるため、相続税額の合計は110万円となります。

-被相続人の配偶者は「配偶者の税額軽減」の適用を受けることが出来る-

実は、相続税には様々な控除があります。その中の一つに「配偶者の税額軽減」というものがあります。相続税の配偶者控除と呼ばれることもあります。

この配偶者の税額軽減の適用を受けると、被相続人の配偶者は、以下のいずれかの金額まで

相続税額が軽減されます。

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つまり、今回の例で配偶者の税額軽減の適用を受けると配偶者の相続税は非課税となります。相続税額を抑えることが出来る控除は配偶者の税額軽減以外にもいくつかあります。

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-配偶者が財産を取得しすぎると「二次相続」で困ることも-

二次相続とは、父の相続の後に母の相続があるケースを言います。ご夫婦は年齢が近いケースが多いので、二次相続に対しての対策もきちんと考えておく必要があります。

「配偶者の税額軽減」の適用を受けることで、配偶者の相続税を抑えることが出来ます。

場合によっては配偶者の相続税は非課税となるわけですが、その効果だけを考えて、一次相続で配偶者がたくさん相続してしまうと、配偶者が亡くなった時の相続で子が多額の相続税を納めることになる可能性があります。

二次相続では配偶者の税額軽減を使うことが出来ませんので、二次相続に対する対策もしっかりと取っておきましょう。

二次相続まで考えて相続対策しないと意味がない!?

3.相続税の申告

(1)相続税の申告期限

相続税の申告には期限があります。相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署で申告・納税を行います。

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相続税は原則として現金一括納付となります。

-現金一括での納付が厳しい場合は?-

相続税は申告期限までに現金一括納付が原則となります。しかし、どうしても現金一括納付が難しいという場合には、特例として延納(金銭での分割払い)、例外として物納が認められています。

延納や物納に関する詳細は下記記事をご確認ください。

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(2)相続税の申告が必要な人 / 必要ない人

相続によって財産を取得した場合、すべての人が相続税の申告が必要という訳ではありません。下記に相続税の申告が必要かどうかのフローチャートを記載しておきます。確認してみてください。

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|相続税の申告が必要ない人

遺産総額が基礎控除以下の方

相続税の基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となります。基礎控除は法定相続人の人数によって変動しますが、一番少ない基礎控除額が3,600万円ですから、そう遺産総額が3,600万円以下の場合には相続税の申告・納税は必要ありません。

|相続税の申告が必要な人

遺産総額が基礎控除を上回る場合には相続税の申告が必要です。注意が必要なケースは、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例適用によって相続税額が0円となる方です。

特例の適用を受けることによって相続税が0円となる場合は、本来は納める税額があるけど、特例を使うから相続税は課税されないよということを示さなければなりません。

そのため、必ず相続税の申告を行う必要があります。

(3)相続税申告に必要な書類

相続税の申告では、相続する財産の種類によって必要な書類が異なります。ここでは、相続財産の種類に関係なく相続税の申告を行う際に必ず必要となる書類をご紹介します。

【被相続人に関する書類】

戸籍謄本(出生~死亡まで)/住民票の除票/戸籍の附票

税務署提出用と名義変更用でそれぞれ2枚準備します。被相続人の最後の住所地の市区町村役所(役場)で取得することが出来ます。

【相続人に関する書類】

戸籍謄本/住民票/印鑑証明書 

相続人全員分を税務署提出用と名義変更用でそれぞれ2枚準備します。それぞれの相続人の住所地の市区町村役所(役場)で取得することが出来ます。相続人の中に相続時精算課税制度を利用している方がいる場合、その相続人は戸籍の附票(2枚)も必要となります。

【状況によって必要となる書類】

該当する書類が手元にある場合には相続税申告時に必要となる可能性があります。

遺言書/遺産分割協議書/被相続人の略歴書/被相続人の死亡診断書(コピー)/各相続人の職業や自宅電話番号

相続によって取得する財産の種類によって、準備すべき書類があります。取得する財産に応じた必要書類は下記に詳しく記載していますので、合わせてご確認ください。

相続の準備をしよう!相続税の申告に必要な書類まとめ

4.相続税の申告は自分でやる?依頼する?

相続税の申告はご自身で申告書類を作成し申告することももちろん可能です。しかし、相続税の申告は、確定申告と比較すると少し複雑な部分があるため、場合によっては税理士に依頼する方が良いケースもあります。

(1)税理士に依頼する必要のないケース

  • 相続財産が現預貯金のみ
  • 相続財産の額が基礎控除額を超えるか超えないか程度
  • すべての相続財産を配偶者が取得する

上記のようなケースでは、それほど複雑ではないのでご自身で相続税の申告を行っても良いかと思います。しかし、相続税の申告は自分で行うことによるリスクがあることも把握しておきましょう。

(2)相続税の申告を自分でやる場合の2つのリスク

リスク1:相続税額が高くなる可能性が高い!

相続税の計算は特殊な財産評価方法を用いることが多く、特に相続財産に不動産がある場合は、正しい評価方法を理解し、評価額を下げることで相続税を抑えることが可能になります。また、評価方法以外にも、二次相続を想定した遺産分割の方法や相続税を抑えることができる特例など知識や経験がないと判断が難しいことがたくさんあります。

基礎控除を超える額の相続財産がある、相続財産に不動産が多く含まれているという場合には、ご自身で相続税の申告を行うことは、想定よりも相続税が高くなる可能性があるということを理解しておきましょう。

リスク2:税務調査の対象になる可能性が高い!

相続税の申告書には税理士が署名捺印する欄が設けられています。税理士に依頼せず、ご自身で相続税の申告を行った場合、この欄が空欄となります。

専門家である税理士が作成している書類ではないということは、計算ミスや判断ミス、計上漏れなどが無いとは言い切れません。つまり、間違いがある可能性が高いという判断になり税務調査の対象となる可能性が非常に高くなります。

(3)相続税の申告を税理士に依頼するメリット

  • 相続税の節税ができる
  • 税務調査に入られる確率が低い
  • 手間がかからない

相続税の申告の専門家は税理士です。税理士に依頼することで、正しい評価方法で財産の評価を行ってもらうことが可能となり、相続税を抑えるための特例なども効果的に適用させることが出来ます。

また、先にも述べたように税理士の署名捺印があることによって税務調査の対象になる可能性も低くなります。

相続税の申告を税理士に依頼する場合には、相続に強い(相続税の申告実績が年間100件以上行っているなど)税理士に依頼することをお勧めします。

損したくない方必見!相続専門税理士の正しい選び方とは?

5.相続税の申告を忘れてしまった場合

相続税の申告・納付は相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内となります。

相続税の申告・納付が必要な方が10ヶ月以内に必要な申告・納付を行わなかった場合、「無申告」となり、相続税以外に「無申告加算税」「延滞税」などの罰則の税金を納めることになる場合があります。

無申告加算税

無申告加算税は、相続税の申告期限内に相続税の申告を行わなかった場合に課される税金です。無申告加算税は、申告期限後にご自身で期限後申告をした場合は5%の無申告加算税が課されます。

もし、税務調査によって期限後申告が必要となった場合は、納税額のうち50万円までの部分には15%、50万円を超える部分には20%の無申告加算税が課されます。

仮に、300万円の相続税を納める必要があった方が無申告だった場合、ご自身で期限後申告をした場合の無申告加算税は15万円、税務調査による期限後申告の場合の無申告加算税は57万5,000円を支払うことになります。

延滞税

延滞税は以下のいずれかに該当する場合に発生します。

  • 無申告の方(申告・納税期限までに申告・納税を行っていない方)
  • 期限後申告もしくは修正申告によって納付する税金がある方
  • 更生または決定の処分を受けており、納付する税金がある方

延滞税は納付期限の翌日から2ヶ月以内であれば原則として年7.2%、2月を経過した日以後は原則として年14.6%の延滞税が課されることになります。延滞税の割合を原則して表記しましたが、延滞税の割合は期間によって異なります。

詳細に関しましては国税庁HPをご確認ください。

国税庁HP「No.9205 延滞税について」

-無申告加算税・延滞税以外にも、相続税にまつわる罰則課税-

無申告加算税や延滞税の他にも、過少申告加算税や重加算税などの罰則課税があります。これらの罰則課税に関する詳細は下記記事をご確認ください。

知らなきゃヤバイ!相続税が無申告だった場合のリスク

相続税の時効はある?

相続税の時効とは、本来、相続税の申告・納税が必要な方が申告・納税を行わず、税務署からの請求を受けることもなく、一定の期間が経過した場合、その義務が消滅することを言います。

相続税の場合、善意の相続人の時効は5年、悪意の相続人の時効は7年となります。善意の相続人とは、相続税の申告・納税が必要だという認識の無かった方のことを言います。少しでも、納める可能性があることを把握していた場合には悪意の相続人に該当します。

相続税には時効が設けられていますが、税務署は相続が発生した事実をきちんと把握していますので、申告・納税の対象となる方で無申告のまま時効を迎えるというケースはほとんどないと言えます。

6.こんなケースはどうする?

相続が発生し、相続税の申告・納税の準備を進めていると、こんなケースはどうしたら良いのだろう?という事態に遭遇することもあります。

(1)財産よりも負債が多い

財産よりも負債が多いという場合は相続放棄を選択するという方法があります。相続放棄はご自身が相続人であることを知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。

相続放棄をすると、当該相続においてすべての財産の相続を放棄することになります。

-どうしても相続したい財産がある場合には「限定承認」という方法もある―

相続には「単純承認」と「限定承認」という2つの方法があります。

単純承認はプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する方法で、限定承認や相続放棄を選択しない場合には、単純承認と判断されます。

限定承認は、プラスの財産で返済できる範囲の債務(マイナスの財産)を相続するという相続方法です。債務の金額が把握できないというケースや、どうしても相続したい財産がある場合には限定承認を選択すると良いでしょう。

ただし、限定承認を行う場合には相続人全員の同意が必要となります。また、相続放棄と同様に相続人であることを知った日から3ヶ月以内に限定承認の手続きを行う必要があります。

相続放棄・限定承認・単純承認|どの方法で相続する?相続の3つの方法。

(2)遺産分割協議がまとまらない!!

遺産分割協議とは、誰がどの財産を相続するかを相続人同士で話し合うことを言います。

遺産分割は法定相続分を目安に考えていくことになりますが、意外とまとまらないというケースは多いのです。例えば、相続財産が不動産のみなど分割の難しい財産の場合には遺産分割協議が難航するケースが多いと言われています。

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所による遺産分割調停、遺産分割調停でも解決できない場合には審判に進むことになります。

遺産分割で相続人同士が争うことの無いように、遺言書の作成など相続発生前に対処しておくことも大切です。

遺産分割調停の流れと、争いが起こった後の対処法は?

『調停』でも決着がつかない場合の遺産分割『審判』とは?

(3)税務署からお尋ねが届いた!!

相続が発生した後、半年~8か月経過した頃に税務署から「相続についてのお尋ね」が送付されることがあります。税務署から送ら得るお尋ねは、相続税の申告・納税を促すことを目的としています

税務署から手紙が来た!と慌てる必要はありません。「相続税の申告要否検討表」などが同封されていますので、ご自身で記入できるようであれば記入して返送しましょう。

難しい場合には税理士に相談することをお勧めします。お尋ね=税務調査と思われている方もいらっしゃいますが、お尋ねが届いたから必ず税務調査の対象になるという訳ではありません。

-相続発生から2~3年後にお尋ねが届くこともある―

相続が発生して数年たってからお尋ねは、相続税の申告を行っていない方に対して送付されることが一般的です。税務署は、本当は相続税の申告が必要なのではないですか?と思っています。つまり、疑っているということになります。

このようなケースは、税理士に相談して対応を検討するようにしましょう。

税務署から相続税のお尋ね書が来た場合、何を意味してる?

7.相続で困らないに生前に取れる対策

相続で困らないために生前に取れる対策は、(1)相続税を抑えるための対策(2)遺産分割など相続争いに発展させないための対策の2つがあります。

(1)相続税を抑えるための対策

相続税を抑えるためには、相続税の課税対象となる遺産総額を抑えることがポイントとなります。

生前贈与による相続対策

ご自身の所有している資産を生前贈与という形で、子や孫に贈与し、ご自身の資産を減らすことで相続時に課税される遺産総額を減らすことが出来ます。

生前贈与によって財産を贈与する場合には、贈与の方法などもきちんと検討するようにしましょう。暦年贈与の場合には贈与を受ける側(受贈者)は年間110万円を超える金額には贈与税が課税されることになります。

資産の種類を変えることによる相続対策

現預貯金を不動産に変えることで相続税を抑えることができる場合があります。これは、相続税の計算でもご紹介した不動産の評価方法によるものです。

相続税を計算する際、不動産は時価ではなく相続税評価額を用いて計算されます。また、場合によっては評価額を減額することができる特例の適用を受けることも出来ます。

現預貯金は、その金額がそのまま評価額となるため、資産の種類を変えることで相続税を抑えることが可能になります。

(2)遺産分割など相続争いに発展させないための対策

相続争いに発展する理由は遺産分割がまとまらないことが原因となります。相続争いに発展させないためには、遺言書の作成などあらかじめ遺産分割の方法をきちんと決めておくことが大切です。

遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があり、作成するのであれば、間違いのない「公正証書遺言」がおすすめです。

また、2019年1月より自筆証書遺言が緩和されたこともあり、自筆証書遺言も作成しやすくなっています。ご自身の財産や相続人の状況によって、どの方法で遺言を作成するかを検討してみましょう。作成した遺言は定期的に更新することも大切です。

-遺言作成の注意点-

正しく作成されている遺言が発見された場合、遺言通りの遺産分割が行われます。相続争いに発展させないために遺言をきちんと作成することはとても有効です。しかし、遺言を作成する場合には「遺留分」について理解しておく必要があります。

遺留分とは法定相続人が最低限、相続することができる財産の割合です。遺留分は、悲壮相続人の配偶者、第1順位・第2順位の相続人が持っている権利となり、第3順位の相続人には遺留分はありません。

相続税で慌てないために。相続の基本を把握しよう!相続情報ラボによる相続と相続税の基本解説!!

遺留分を持っている相続人は遺留分減殺請求権という権利を保有しているので、遺言等によって、本来、受け取ることができる相続分を侵害された場合には、その分を取り返すための請求を行うことが出来ます。

相続発生前に絶対に覚えておきたい『遺留分』の知識

遺留分を意識せずに遺言を作成してしまうと、結果的に遺留分減殺請求など争族に発展してしまう可能性がありますので注意してください。

8.亡くなった方の確定申告も忘れずに

亡くなった方が確定申告の必要がある方だった場合、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を、相続開始の翌日から4か月以内に申告し、所得税の納税を行う必要があります。これを「準確定申告」と言います。

注意点は、通常の確定申告時期とは異なるという点ですね。通常の確定申告は2月中旬~3月中旬の確定申告期間に申告・納税を行います。準確定申告は相続発生から4か月以内となります。

また、申告書類の提出先は被相続人の住所地を管轄する税務署となります。

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亡くなった人の確定申告も必要?準確定申告を忘れずに行いましょう!

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まとめ

今回は相続税の基本から相続対策など様々な内容をご紹介させていただきました。相続は一生に何度も経験することではありません。相続が発生した時に慌てないためには、事前に対策を取れることは対策を取っておくことが大切です。

また、場合によっては税理士など専門家に依頼することも検討しておくようにしましょう。税理士に依頼する場合には、相続に精通した税理士を選ぶことをお勧めします。