被相続人の口座からお金を下ろすことができるようになる?民法改正による仮払い制度ってどんな制度?

被相続人の口座からお金を下ろすことができるようになる?民法改正による仮払い制度ってどんな制度?

2018年7月6日に成立した相続法(相続に関する民法の規定)が改正され、被相続人の預貯金の仮払い制度という制度が新たに創設されることになりました。「預貯金債権の仮払い制度」についてご紹介します。

1.被相続人の預貯金の扱い

被相続人が保有していた財産は相続財産となり、相続が発生すると遺産分割が終了するまでは相続人の共有財産となります。

(1)被相続人の口座は凍結される

金融機関は被相続人が亡くなったことを知った時点で、被相続人の口座を凍結します。

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口座凍結の理由は、相続人以外の人が遺産を引き出してしまう可能性があることや、遺産の引き出しをめぐる相続争いに巻き込まれる可能性があることなど、金融機関にとってリスクとなることを防ぐためです。

(2)凍結されている口座からお金を引き出すには

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凍結されている口座からお金を引き出すためには、被相続人の除籍謄本・戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明などが必要となり、相続人全員が同意している状態でないと遺産分割が終了する前にお金を引き出すことはできません。被相続人の口座からお金を引き出すことが出来ないため、葬儀代等の費用を相続人が立て替える必要があります。

2.預貯金の仮払い制度

被相続人の口座が凍結されることにより、相続人が葬儀代や被相続人の債務の支払いなどを一時的に建て替えることになり、相続人の生活が苦しくなってしまうケースもあります。

このような問題を解消するために、預貯金の仮払い制度が創設されることになりました。被相続人の預貯金の仮払いは、家庭裁判所で手続きを取る方法と、金融機関の窓口で行う方法があります。

(1)家庭裁判所の手続きで仮払いする

家庭裁判所で仮払いの必要性が認められると、他の相続人の利益に影響がない範囲であれば家庭裁判所の判断で仮払いしてもらうことが出来ます。家庭裁判所での仮払いには下記の要件を満たしている必要があります。

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(2)金融機関の窓口で仮払いする

金融機関の窓口での仮払いは、以下の算出式によって求められた金額が払い戻し可能な金額となります。

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例えば、被相続人の預貯金が300万円、相続人が長男と次男で長男が仮払いを行う場合、300万円×1/3×1/2=50万円となり、50万円は仮払いしてもらえることになります。

ただし、金融機関ごとに100万円~150万円程度の上限が設けられることになりますので、上限を超えた金額の仮払いは出来ません。

3.仮払いされた預貯金の扱い

家庭裁判所による手続きにせよ、金融機関による手続きにせよ、引き出した預貯金が相続財産であることには代わりはありません。

仮払いされた預貯金は、仮払いを行った相続人が遺産分割によって取得した財産とみなされます。遺産分割が行われる際には、相続財産から控除して考えられることになるため注意してください。

まとめ

相続が発生すると被相続人の預金口座は凍結され、遺産分割が終了するまでは預貯金の払い戻し等を行うことは出来ませんでした。そのため、被相続人の葬儀費用や相続による債務の弁済などですぐにお金が必要な場合に、相続人が立て替える必要がありました。

預貯金の仮払い制度を利用することで、相続人の金銭的負担を軽減することが出来そうですが、あらたな問題が起こりうる可能性も十分に考えられるため、仮払い制度を利用する場合には、他の相続人と情報の共有をきちんと行うなどの対処が必要となります。