老老介護から老老相続へ。生前贈与で資産を上手に家族に残そう。

老老介護から老老相続へ。生前贈与で資産を上手に家族に残そう。



日本人の平均寿命は80歳を超え、超高齢化社会と言われるようになりました。超高齢化で問題とされる「老老介護」は高齢者が高齢者を介護するという意味で用いられています。

この老老介護と同じように、現在、老老相続も深刻な問題となっています。老老相続の問題点と資産の有効活用を行うための生前贈与についてご紹介したいと思います。

1.老老相続による問題点

財務省主税局の調査によると、申告のあった相続のうち、被相続人の年齢層が年々上昇しているという結果があります。

老老介護から老老相続へ。生前贈与で資産を上手に家族に残そう。

1989年60代、70代の被相続人が大半を占めていました。しかし、1998年には80代と70代60代が同じくらいの比率となり、2013年には80代以上が最も多くなっています。

被相続人の年齢が上がっているということは、それだけ日本人の寿命が伸びているという喜ばしいことですが、同時に、財産を受け取る相続人の年齢も上がっていることになります。

60代や70代の親が亡くなると、30代、40代といういわゆる子育て世代が財産を受け取ることになります。子育て世代はお金がかかるため、相続によって取得した財産を生活に活用することになりますが、50代、60代の場合は、子育ても一段落していることが多いため相続によって取得した財産を活用することが少なくなってしまいます。

下手をすると、相続によって財産を取得して、資産が増えたことで、相続人が被相続人となる相続が発生した際に、新たな相続人に課税される相続税が高くなってしまうということも考えられます。老老相続は経済が回らないというデメリットと、新たな相続人の相続税の負担が大きくなる可能性の2つのデメリットが考えられるということになります。

2.老老相続のための対策は生前贈与の活用

生前贈与は相続税の節税対策として知られていますが、老老相続の対策としても有効です。

80代の被相続人の子は50代~60代となりますが、その子の子、つまり孫は30代~40代であることが多く、子育て世代と言われるお金が必要な世代です。

通常、相続が発生すると孫は代襲相続が無い限り相続人として財産を受け取ることは出来ません。

そのため、孫に遺産を残したいという場合には遺言による遺贈や養子縁組による方法を取る必要があります。しかし、生前贈与であれば孫に財産を渡すことが出来ます。財産を贈与する方法は大きくわけて2つの方法があります。

(1)暦年贈与による生前贈与

暦年贈与とは、1月1日~12月31日までの1年間に受贈者(贈与を受け取る人)が受け取った贈与税額が110万円以下であれば贈与税は課税されないとい方法です。110万円を超えた部分に対して贈与税が課税されることになりますので、この方法で贈与を行う場合には、110万円を超えないような贈与の場合には有効といえます。

暦年贈与についての詳細は下記をご確認ください。

暦年贈与に絡む5つの論点とは?

(2)相続時精算課税制度を利用した生前贈与

相続時精算課税制度とは、最大2,500万円の贈与であれば贈与税が課税されないという仕組みです。相続税精算課税は20歳以上の子または孫が受贈者であること、贈与者は60歳以上の父母または祖父母であることが要件となります。

相続時精算課税の適用を受けると、最大2,500万円までは贈与税が課税されずに贈与を行うことが出来ますが、贈与者が亡くなって相続が発生した際には、贈与によって取得した財産が相続財産に含まれることなります。つまり、贈与税は課税されないけれど相続税は課税されるということになります。

また、一度相続時精算課税制度を選択すると途中で暦年贈与に変えることは出来ません。

相続時精算課税制度についての詳細は下記をご確認ください。

相続時精算課税制度を簡単にご説明致します!

3.生前贈与に使える贈与税の特例

老老相続によって経済の活性化が低迷してしまうことのないように、政府も生前贈与による資産の有効活用を目的とした制度をいくつか準備しています。

(1)教育資金の一括贈与

教育資金の一括贈与とは、直系尊属からの教育のための資金の贈与を受けた場合、最大1,500万円まで非課税となる特例です。贈与を受ける受贈者が30歳未満であることが条件となります。

特例の適用対象となる教育資金は「学校の教育費」と「学校以外の教育費」の2つに別れおり、学校以外の教育費は500万円が限度額となります。

この特例の適用を受けるためには、教育資金口座を開設する必要があります。

教育資金の一括贈与に関しての詳細は下記をご確認ください。

教育資金の一括贈与(1500万円非課税制度)活用方法は?

(2)結婚・子育て資金の一括贈与

結婚や子育てに必要となる資金の贈与があった場合、要件を満たすことで最大1,000万円まで贈与税が非課税となる特例です。平成27年4月1日~平成31年3月31日までの間の贈与が対象となり、

受贈者は20歳以上50歳未満の方となります。こちらも教育資金の一括贈与と同様に、直系尊属からの贈与が対象です。また、こちらの特例も結婚・子育て資金口座を開設する必要があります。

結婚・子育て資金の一括贈与に関する詳細は下記をご確認ください。

結婚のために贈与したら非課税?2015年4月から新制度!

(3)住宅取得資金の贈与

住宅を取得するために必要な費用を直系尊属から贈与された場合、一定の要件をみたすことで最大1,200万円までは贈与税が課税されない特例です。

住宅家屋の種類や、新築等の契約の締結日によって非課税枠に差があるため、事前にしっかりと要件等を確認しておきましょう。

住宅取得資金の贈与に関する詳細は下記をご確認ください。

直系尊属から住宅取得資金の贈与で最大1,200万非課税?

住宅取得資金をあげても1,200万円まで贈与税が非課税に!

まとめ

ご自身の大切な資産は、受け取る人たちに有効に活用してもらいたいですよね。老老相続の可能性がある場合には、生前贈与などで孫などに財産を引き継ぐことも可能です。

生前贈与は明確な目的で資産を渡すことが出来ます。また、なによりも受け取った子や孫の喜ぶ顔を見ることが出来ます。生前贈与をうまく活用して、相続税の節税対策と老老相続への対策を行いましょう。

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