事業承継税制の対象になる会社とならない会社|資産管理会社ってどんな会社?

事業承継税制の対象になる会社とならない会社|資産管理会社ってどんな会社?




中小企業の事業承継を円滑にすすめるための政策として「事業承継税制」という制度があります。事業承継税制は中小企業の非上場株式に課税される相続税の納税猶予等に関する特例です。この特例の適用をうけるためには、いくつかの要件があり、対象となる会社に関しても要件が定められています。

今回は、事業承継税制の適用対象となる会社の要件や適用を受けることができない資産管理会社についてご紹介します。

1.事業承継税制の対象となる会社の要件

事業承継税制による特例の適用を受けることができる会社とは、以下のいずれにも該当しない会社です。

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つまり、上記に該当していない中小企業であれば、事業承継税制の適用を受けることが可能となります。

中小企業の定義については、業種によって資本金額や常時使用の従業員数によって定められていますが、法律や制度によっては中小企業の範囲が異なることがあります。

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ちなみに、これらの定義でよくみかける「常時使用の従業員数」という表現ですが、常時使用って正社員のこと?という疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

わかりづらいですよね。

常時使用の従業員とは、労働基準法第20条に規定されている解雇の予告を必要とする従業員が対象となります。

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

○3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

一 日日雇い入れられる者

二 二箇月以内の期間を定めて使用される者

三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

四 試の使用期間中の者

引用:労働基準法

21条の1~4に該当する従業員は原則、常時使用に該当しないということになりますので、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトの等の場合、ある程度の期間、継続して雇用する

場合には常時使用する従業員の数になると判断できるのではないでしょうか?

ちなみに、会社の役員や個人事業主の場合には解雇予告を必要としない者となるため、常時使用する従業員には該当しません。

2.事業承継税制の対象外となり資産管理会社とは

事業承継税制の適用除外となる5つの要件の中に「資産管理会社(一定の要件を満たすものを除く)」とあります。

資産管理会社とは「資産保有型会社」と「資産運用型会社」の総称となります。それぞれの定義を確認していきましょう。

(1)資産保有型会社の定義

資産総額のうち特定資産の占める割合が高い場合、資産保有型会社に該当する可能性があります。具体的には、資産価額の総額のうち特定資産の占める割合が70%以上となる場合が対象です。

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(2)資産運用型会社の定義

株式や不動産の運用収入が大半を占めるような会社を資産運用型会社となります。具体的には、総収入額に占める特定資産の運用収入の合計が75%以上である会社が対象です。

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(3)資産管理会社の判定基準となる特定資産とは

特定資産とは、以下1~5の合計額を言います。

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1の持株会社の持分に関しては、該当する特別子会社が資産保有型子会社や資産運用型子会社に該当しない場合には、有価証券及び持分から除くことが出来ます。

2の不動産は、第三者に賃貸している不動産も該当しますが、従業員が住んでいる社宅は自社使用となります。役員が住んでいる社宅は第三者使用となり自社使用には該当しません。

3・4を事業用として所有しているものは除外されます。

(4)資産管理会社でも一定の要件を満たすと適用される

資産管理会社が事業承継税制の特例適用を受けるためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります。

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つまり、事業実体がしっかりとある場合には資産管理会社に該当する会社であっても事業承継税制の特例適用を受けることが可能です。

まとめ

事業承継税制は事業承継に係る非上場株式の相続税の納税猶予に関する特例です。この特例の適用を受けることで、事業承継を円滑に進めることが出来ます。

しかし、資産保有型会社や資産運用型会社などの資産管理会社に該当してしまうと、事業承継税制の特例適用を受けることが出来なくなってしまいます。

自社が資産管理型会社に該当するかどうかの判断をしっかりと行い、事業承継に向けた対策を検討して下さい。