相続分とは? 譲渡する場合の証明書文例も解説

相続分とは? 譲渡する場合の証明書文例も解説

もしあなたの身内が亡くなった場合、あなたは相続財産をどれくらいの割合でもらう権利があるかわかりますか。

相続財産をもらう権利のことを「相続分」と呼びます。ここでは相続分について解説するとともに、「相続分の譲渡」についても説明します。相続譲渡は、少しでも早く相続財産を手にしたい人や、遺産の争いに巻き込まれたくない人、あるいは、特定の相続人を「分割協議に参加させたくない」という人が行うものになります。

1.相続分とは

相続分とは? 譲渡する場合の証明書文例も解説
相続分とは、いくら財産をもらう権利があるのかということです。相続する人(民法で定められた相続人)が誰になるかによって、相続分の割合も異なってきます。
※相続人の決め方についてはこちら→5分でわかる!相続する人(相続人)って誰?

相続人ごとに相続分がいくらになるのか、下の表でまとめています。

相続人の構成と相続分

相続人の構成
相続人
法定相続分
備    考
配偶者と子
配偶者
 1/2 
配偶者は常に相続人。この構成では1/2が相続分
 1/2 
子全員で1/2。
(例)子が3人の場合1人あたり 1/6 = 1/2×1/3
配偶者と
直系尊属
(父・母)
配偶者
 2/3 
配偶者は常に相続人。この構成では2/3が相続分
直系尊属
 1/3 
両親で1/3。
(例)父母ともに健在であれば1人あたり 1/6 = 1/3 ×1/2
配偶者と
兄弟姉妹
配偶者
 3/4 
配偶者は常に相続人。 この構成では3/4が相続分
兄弟姉妹
 1/4 
兄弟全員で1/4。 
(例)兄弟2人の場合1人あたり1/8 = 1/4×1/2

具体的には次の通りとなります。

①配偶者のみで第1~3順位まで誰もいない場合

配偶者がすべて取得します。

配偶者と第1順位(子または)

配偶者が1/2、第1順位の人が1/2。配偶者がいない場合、第1順位(子または孫)の人がすべて取得します。

③配偶者と第2順位(父・母)

配偶者が2/3、第2順位者(父・母)が1/3。配偶者がいない場合は、第2順位(父・母)の人がすべて取得します。

④配偶者と第3順位(兄弟姉妹)

配偶者が3/4、第3順位(兄弟姉妹)の人が1/4。配偶者がいない場合は、第3順位(兄弟姉妹)の人がすべて取得します。

2.相続分の譲渡とは

遺産分割は通常、相続人の間でどの財産を誰に渡すかを決めるため、遺産分割協議が成立するまで時間がかかります。相続人の中には、少しでも早く相続財産を手にしたいと考える人、遺産の争いに巻き込まれたくない、あるいは、特定の相続人を遺産分割協議に参加させたくないと考えている人もいます。

このような場合に、遺産分割の前に自分の相続分を他の相続人又は第三者に譲渡することが認められています。これを「相続分の譲渡」 と呼びます。 

3.相続分の譲渡の具体例

相続分とは? 譲渡する場合の証明書文例も解説
例えば、相続人が長男、次男、三男の3人だったとします。長男と次男がどのように財産を分けるかを三男に知られたくない場合や、三男が遺産分割争いを避けたいと考える場合には、三男は相続分を長男か、次男に無償又は有償で譲渡することができます。
 
相続人が子供3人であれば、相続分は1人あたり1/3です。仮に、三男が長男に相続分のすべてを譲渡した場合には、
長男は1/3 + 1/3 = 2/3 が相続分
次男は 1/3 が相続分
三男は譲渡したため相続分はゼロとなります。
 
つまり、三男は法定相続分がなくなり、長男は三男から譲り受けた相続分だけ加算されることとなります。
相続分とは? 譲渡する場合の証明書文例も解説

4.相続分を譲渡した場合の取り扱いは?

(1)三男が長男に無償で相続分を譲渡した場合

三男が相続分を無償で長男に譲渡した場合、三男は何も取得しないこととなりますので、相続税も贈与税もかかりません。 

(2)三男が長男に有償で相続分を譲渡した場合

例えば、三男が1/3の相続分を500万円で長男に売却したとします。これは、相続分の対価として500万円を取得したことになるので、相続税が課税されます。
長男は、相続分の対価として500万円支払っているため、長男の相続財産から500万円が控除されます。

(3)遺産分割協議は長男と次男でやれば良い!?

三男が相続分の譲渡を行った場合、遺産分割協議は長男と次男の2人で行えば良いこととなります。よって、遺産分割協議がスムーズに行える可能性が高まるでしょう。 

※遺産分割協議詳細についてはこちら→意外とモメる遺産分割【遺産分割協議とは?】

5.相続分譲渡証明書の文例

相続分を譲渡する際には、相続分譲渡の証明書が必要です。以下文例です。

相続分譲渡証書

 譲渡人は譲受人に対して、被相続人亡鈴木一郎の相続分全部を金1,000万円で譲渡し、譲受人はこれを譲り受けた。

 譲受人は、譲受代金1,000万円を平成○○年4月30日限り譲渡人方に持参して支払うこととし、譲渡人は右代金受領と同時に相続財産の共有持分移転登記手続をする。

 右登記費用は譲受人の負担とする。

  平成○○年4月1日

           (住所) 神奈川県横浜市○○1丁目1番1号
                  譲受人    佐 藤   二 郎 印
           (住所) 神奈川県横浜市市○○1丁目1番2号
                  譲渡人    鈴 木   三 郎 実印

6.相続分不存在証明書とは?

口頭で問題ありませんが、後日揉め事にならないようにするためにも『相続分不存在証明書』を作成しておくべきでしょう。「相続分のないことの証明書」の『相続分不存在証明書』には決まった書式はありません。
以下の文例を参考にすれば、誰でも簡単に作成できるはずです。 

7.相続分不存在証明書の文例

相続分不存在証明書

 被相続人 鈴木一郎
 私は、平成27年5月1日被相続人の死亡による相続につき、相続する相続分がないことを証明します。

  平成27年5月8日

  東京都世田谷区◯◯
  相続人 鈴木 二郎 印

8.非嫡出子の相続分の論点

嫡出子は結婚している男女の間に生まれた子どものことで、非嫡出子は結婚していない男女の間に生まれた子どものことを意味します。 

平成25年9月4日より以前、相続分は非嫡出子と嫡出子とで異なっており、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分でした。しかし平成25年9月4日に裁判で、そのような差別は違法との判決が出たことで、平成25年9月4日以降の相続分は、嫡出子も非嫡出子も同額となりました。

まとめ

相続分と相続分の譲渡について理解できましたか。相続分を理解していなかったせいで、本来受け取れるはずの相続財産を受け取れない可能性もあるのでぜひ覚えておいてください。