孫への生前贈与で節税したい!教育目的なら非課税になる?

孫への生前贈与で節税したい!教育目的なら非課税になる?

親族などが築き上げてきた財産を、亡くなってから受け取るときに納める税金、相続税。その相続税を減らすために選択されるのが、生きている間にプレゼントする「生前贈与」(せいぜんぞうよ)です。子や配偶者に対する贈与が一般的ですが、孫への贈与を考える方も少なくありません。相続税対策をせず、子から孫へと相続させると、親から子、子から孫と二回分、税金がかかることになります。なるべく財産の目減りを避けるには、孫に直接財産分与するのが節税対策として有効です。この記事では、贈与税の基本を押さえながら、孫への生前贈与による節税対策をご紹介していきます。

1.生前贈与で相続税対策になる理由

孫への生前贈与で節税したい!教育目的なら非課税になる?

まず、生前贈与の定義を押さえておきましょう。生前贈与というのは、相続が始まる前、つまり生きている間に財産を譲ることを意味します。ざっくりと「プレゼントすること=生前贈与」と理解しましょう。贈与する場合も、税金がかかります。贈与によってもらった財産に課税される税金が、贈与税です。なお、法律上は売買のカテゴリの行為であっても、相場よりはるかに安い値段で買った場合など、その売買したものの時価とその購入額との差額分の贈与とみなされます。この「みなし贈与」と呼ばれる、実質、贈与にあたるものも課税対象です。

生前贈与が相続税対策になる理由はとても簡単です。贈与した分だけ、相続に回る財産が減るからです。相続税も贈与税も、対象となる財産が大きければ大きいほど、その税金が高くなります。相続税は最高税率が55%。特に対策をしないで亡くなってしまうと、資産半分が税金として取られてしまう計算になります。どうせなら節税して愛する家族に遺したいですよね。

贈与税は、一定金額以下の少ない財産については課税されません。1月1日から12月31日までの1年間の間、個人からもらった財産の合計額が110万円以下の場合、原則として贈与税は課税されません。早い時期から年に110万円までをコツコツと贈与していけば、相続税のかかる財産を減らすことになり、その分だけ節税できるというわけです。

なお、金額に関わらず、贈与税がかからない財産もあります。法人から受けた贈与財産や、生活費や教育費に充てるための贈与財産などです。

贈与税は、個人から個人に対して贈与される財産に対して課税される税金なので、法人から個人への贈与は、一時所得となり、贈与税が課税されないのです。

また、子どもなどに生活費・教育費を支出した場合、それが常識の範囲内である限りは、贈与税は課税ありません。但し、大学に通う子どもに毎月100万円の仕送りをしているというような場合は「教育費としての常識の範囲内とはいえない」と判断され、贈与税を課税されることもあるため、注意が必要です。

もっと詳しく贈与税を確認されたい場合は「贈与税とは~贈与税がかかる財産、かからない財産」もあわせてご参照ください。

贈与税とは~贈与税がかかる財産、かからない財産

2.孫への生前贈与がおすすめの理由

孫への生前贈与で節税したい!教育目的なら非課税になる?

なぜ、相続税対策で、孫への生前贈与がおすすめなのか。大きく3つ理由があります。

第一に、財産は親からその子、そして孫へと順番に相続されていくものですが、子を経由して相続させるよりも孫に直接、贈与してしまえば、相続税を課される機会が1回分減ることになります。また、贈与として処理された財産分は、孫のものですので、子(孫の親)が亡くなった時に相続税の対象にならないというのもポイントです。

第二は、生前贈与で有名なルールを知るとわかります。それは「相続を開始する前の3年以内の生前贈与は有効だが、その贈与された財産は相続税の課税対象となり、相続財産と合計して課税価格の計算が行われる(※)」というものです。これは極端な相続税逃れを防止するための法律の条項で、もっとざっくり言えば「法定相続人(配偶者や子)に対する、相続を開始する前の3年以内の生前贈与には相続税がかかる」ということです。

通常、孫は法定相続人ではありません。孫に生前贈与をした場合、相続開始前3年以内であっても相続税がかかりません。子に生前贈与するよりも、リスクが少なくて済むのです。極端な例で言えば、亡くなる直前、亡くなった日に孫へお金を渡しても贈与扱いになります。但し、遺言書などで孫が相続人に含まれている場合は、子や配偶者と同様に贈与税の対象になるので、注意が必要です。

(※)

相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(中略)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額(中略)をもつて、その納付すべき相続税額とする。

(相続税法第十九条1項 一部抜粋)

第三に、孫への教育資金での贈与の場合、贈与税が課されないという有名な「教育資金一括贈与」の特例制度の存在です。この制度は2019年3月末日までの期限だったのが、2019年度の税制改正で2年延長されることになっています。ただし、現時点では今後も継続されるとは限りませんので、活用できるうちに活用するようにした方がよいでしょう。

なお、「孫に教育資金を贈与するとき、一定の要件を満たせば1500万円まで贈与税がかからない」というものです。一括といっても、1回で与える必要はないため、500万円を3回に分けて贈与することもできます。この贈与は一人の孫につき1500万円なので、孫が2人なら合計して3000万円まで、贈与税なしに贈与できることになります。ただし、贈与税は「いくら受け取ったか」の受け取った側で計算されます。母方と父方の祖父が一人の孫に対して教育資金を贈与した場合、うっかりその合計金額が1500万円を超えると、その分が課税対象になってしまって節税にならないので、注意しましょう。

孫への教育資金の贈与について知りたい方は「教育資金の一括贈与(1500万円非課税制度)活用方法は?」をご参照ください。

教育資金の一括贈与(1500万円非課税制度)活用方法は?

なお、改正の変更点として、贈られた者の前年の合計所得金額が1000万円を超える場合は対象外になったり、贈られた者が23歳以上の場合は習い事などの教育資金の一部のカテゴリが課税対象となったり、など制度が厳格化しているところがあるので、その差分には注意してください。

3.孫への生前贈与で気をつけたいこと

孫への生前贈与で節税したい!教育目的なら非課税になる?

孫への贈与で気をつけたいことは次の3点です。

・孫に贈与したことを認識させる

・贈与した財産は、孫に管理させる

・教育資金一括贈与の場合、孫が30歳になるまでに使い切る

亡くなったときに孫にサプライズプレゼントを、と思ったとしても、贈与は、法的には贈与契約という一種の契約行為で、お互いの合意が必要である以上、孫が贈与の事実を知らない場合、その贈与自体が無効となってしまうため、注意が必要です。最近では銀行でも他人名義の口座は作れなくなったとは聞きますが、もし孫の名義で通帳を作ったとしても、孫が知らなければ孫への贈与は無効になります。口頭での合意も避けた方が無難です。贈与に対する合意として、契約書のような形を残すとよいでしょう。

孫が母の胎内にいる頃から就学前までであるなら、子に対して「結婚子育て資金」を贈与するのが妥当でしょう。特例の要件を満たせば1000万円まで贈与税がかかりません。

また、孫と合意がとれても、孫が財産を管理できない状態だと、これも贈与が無効になります。「あなた名義の通帳を作ったよ」と孫に伝えていても、まだ小さいからと自身の手元に通帳を残してしまうと、あなたの財産の一部として扱われる可能性が高いです。

孫が教育資金一括贈与の特例で1500万円までの贈与を受けた場合、30歳までという年齢制限があるので、注意が必要です。30歳になるまでに教育資金を使わなければ、使い切れなかった分は30歳になった年に贈与税が課されます。学校以外に使ってよい資金としては500万円まで問題ないので、10代のうちに習い事などで使ってしまった方がよいでしょう。

「結婚子育て資金」の贈与の特例は直系尊属が贈与者であれば適用されるので、孫が結婚するという場合、孫の結婚式や出産、保育費を出すなどの1000万円までの贈与もよいでしょう。

4.まとめ

 

いつかは必ず向き合わなければいけない相続問題。自分が頑張った分、少しでもそのまま愛する家族や親族に譲り渡したいと思うのが人情です。相続税も贈与税も、財産をもらった側が支払うものです。最悪、遺された人が税金が払えなくて相続を放棄するということもあり得ます。また、遺言書を遺しても、親族で争った結果、譲りたいと思っている人に財産が渡らないこともるでしょう。生前贈与によって、お互いの意思疎通をしながらの財産分与が可能となるというのは、最大のメリットだと言えるでしょう。

生前贈与がそうであるように、早めに対策を取るほど、大幅な節税ができるのが相続税や贈与税というものです。何から手をつけてよいかわからない場合、年に100件以上の相続税の申告実績を持つような相続専門の税理士に相談してみるのもいいでしょう。

考えることを先延ばしにせず、遺されたあなたの家族の幸せにつながる第一歩を踏み出してみませんか。

 

もっと詳しく相続税や贈与税について知りたい方は「相続税や贈与税を節税する時に絶対に知っておくべき14の方法」もあわせてご参照ください。

相続税や贈与税を節税する時に絶対に知っておくべき14の方法