目次
1. 贈与税とは?
2. 相続税と贈与税は何が違うのか?
相続税:死亡後に財産をもらった方が課税されるもの
贈与税:生前に財産をもらった方が課税されるものです。
※会社から財産を取得した場合には、所得税が課されます。 贈与税は、個人が個人から財産をもらった場合に財産をもらった人が課税されます。
3. 贈与税を支払う人の区分
相続税法1条の4によれば、贈与税の納税義務者(贈与税を支払う人)は以下のとおりです。
3-1 居住無制限納税義務者
居住無制限納税義務者は、その取得財産の所在がどこにあるかに関わらず、取得財産全額について納税義務があります。
3-2 非居住無制限納税義務者
4. 意外と知らない贈与税がかかる財産(みなし贈与財産)
4-1 保険料を負担しないで受け取った保険金
保険料の掛金を負担せず、生命保険の満期保険金を受け取った場合や、損害保険金を受け取った場合も、贈与があったとみなされます。
満期返戻金を受け取ったときの保険金の課税関係は?
保険料の支払者
|
満期返戻金の受取人
|
課税関係
|
夫 | 夫 |
・所得税
・満期保険金を一度に受領した場合には一時所得 ・年金形式で受け取った場合は雑所得 |
夫 | 妻 |
・贈与税
|
4-2 掛金を負担しないで受け取った定期金
生命保険会社や証券会社等の個人年金のように、定期金給付契約(生命保険契約を除く)に基づいて定期的に現金が給付されるものを定期金といいます。
保険料を負担しない保険金と同様、掛け金を負担しないで定期金を受け取った場合にも贈与があったとみなされます。
4-3 著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合の利益
4-4 債務免除や債務引受等による利益
4-5 上記以外で、無償又は著しく低い価額で得た利益
上に挙げた以外でも、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合にも贈与があったとみなされます。
5. 贈与税がかからない財産とは?
しかし、課税されない財産(非課税財産)があります(相続税法21条の3、21条の2の4項)。
【非課税財産の代表例】
5-1 法人からの贈与により取得した財産
贈与税は個人から個人へ財産が贈与された場合にかかります。
しかし、個人が法人から財産を贈与された場合、贈与税はかかりません。
ただし、財産をもらい受けた人の一時所得として所得税が課税されます。
5-2 扶養義務者相互間の生活費や教育費
親族間で生活や教育にあてるための財産を贈与しても課税されません。
5-3 公益事業用の財産
宗教、慈善、学術などの公共事業を行う者が取得し、公共事業のために用いることが確実である財産には課税されません。
5-4 社会通念上必要と認められる香典、贈答、祝物、見舞などのための金品
通常必要と認められる香典、花輪代、お中元やお歳暮、お祝金やお見舞いなどで、社会通念上相当(常識的な範囲内のもの)と認められるものの贈与には課税されません。
5-5 相続開始の年に被相続人から贈与された財産
6. 贈与税の課税方法は?
6-1 暦年課税とは?
贈与税は一人が1月1日から12月31日までの間に取得した財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。
取得財産合計 - 110万円 |
この金額に対して課税されます。
7. 暦年課税の場合の税金計算方法は?
7-1 第1段階(課税価格の算定)
7-2 第2段階(贈与税額の計算)
8. 配偶者控除とは?
8-1 配偶者控除の概要
配偶者への贈与は、結婚して20年以上の配偶者に対して住宅または住宅取得のための資金贈与があった場合、贈与税の計算に際して2000万円を控除する制度です。
110万円の基礎控除もあるので、
基礎控除110万円+贈与税の配偶者控除2,000万円で合計2,110万円まで贈与税はかかりません。
この特例を利用する際の注意点 |
同一の配偶者間では一生に一度しか適用を受けることができません。 |
何も考えることなく贈与すると不利益が及ぶ可能性がありますので、専門家と相談し、贈与にあたってはタイミングや金額について検討することが重要となります。
8-2 配偶者控除の要件
この特例の適用を受けるためには、下記の3つの条件すべてを満たすことが必要となります。
- 夫婦の婚姻期間が20年以上であること
- 贈与を受ける者が住む住宅または住宅を取得するための資金の贈与であること
- 贈与を受けた者が、その翌年3月15日までに贈与により取得した不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること
8-3 配偶者控除の手続き
次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要となります。
- 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
- 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
- 居住用不動産の登記事項証明書
- その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
上記書類のほかに、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。
9. 贈与税の税率は?
9-1 平成27年以降分(20歳以上の者が直系尊属(親など)から贈与を受けた財産)
課税価格 | 税率 | 控除額 | 課税価格 | 税率 | 控除額 |
2,000千円以下 | 10% | - | 15,000千円以下 | 40% | 1,900千円 |
4,000千円以下 | 15% | 100千円 | 30,000千円以下 | 45% | 2,650千円 |
6,000千円以下 | 20% | 300千円 | 45,000千円以下 | 50% | 4,150千円 |
10,000千円以下 | 30% | 900千円 | 45,000千円超 | 55% | 6,400千円 |
※(1)20歳以上の方が、父母・祖父母から贈与された場合の税率
9-2 平成27年以降分(上記以外の贈与財産)
課税価格 | 税率 | 控除額 | 課税価格 | 税率 | 控除額 |
2,000千円以下 | 10% | - | 10,000千円以下 | 40% | 1,250千円 |
3,000千円以下 | 15% | 100千円 | 15,000千円以下 | 45% | 1,750千円 |
4,000千円以下 | 20% | 250千円 | 30,000千円以下 | 50% | 2,500千円 |
6,000千円以下 | 30% | 650千円 | 30,000千円超 | 55% | 4,000千円 |
※(1)に該当しない場合の税率
10. まとめ
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