多くの人の夢であるマイホームを建てる際、両親からの資金援助を受けるという人は多くいます。また、近年の低金利の影響で住宅ローンを借り換える人も増加しています。
しかし、住宅ローンと贈与、税金の関係についてしっかりと理解していないと、逆に余分な税金を払わなければいけなくなったり、住宅ローンの控除額が減額されてしまったりということもあります。
そこで今回は、住宅を建てる際に少しでも得出来るように、贈与と住宅ローン、税金の関係について詳しく説明していこうと思います。
目次
1.住宅資金贈与の特例を使えば贈与税が免除される!
新しく住宅を建てる際に贈与を受け取った場合、「住宅資金贈与の特例(直径尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)」を使うことで贈与税を非課税にすることが出来ます。
ただし、この住宅資金贈与の特例には受贈者(贈与を受ける人)の適用要件が定められています





これらの条件を満たすことで、贈与を受けた際の贈与税を非課税にすることが出来ます。
非課税で贈与を受けることが出来る金額の上限は建てる住宅の種類や品質によって左右されます。一定の省エネ基準や耐震がなされている住宅は評価が高くなるため、贈与税が免除される上限も高くなります。

もし非課税で贈与を受けることが出来れば、住宅ローンの負担を軽減することができる上に、遺産相続を減らすことができますので相続税対策としても有効です。
2.住宅資金贈与の特例と住宅ローン控除の関係
住宅資金贈与の特例は住宅を新たに建てる人にとっては非常にありがたい制度ですが、住宅ローン控除との関係をしっかりと把握しておく必要があります。それは、住宅ローンの借入額と贈与額の合計によっては住宅ローン控除が適用される金額に影響が出ることがあるからです。
まず、住宅ローンの借入額と贈与額の合計が住宅の購入価格を越えない場合は住宅ローン控除に影響がでませんので心配いりません。

しかし、住宅ローンの借入額と贈与額の合計が住宅の購入価格を超える場合は注意が必要です。住宅ローン控除は住宅を購入するために組んだローンに対して所得税を優遇するための制度です。

通常であれば住宅ローンの借入額に対して所得税が控除されますが、住宅ローンの借入額と贈与額の合計が住宅の購入価格越えた場合、超えた分は住宅ローンとはみなされなくなります。
つまり、住宅ローン控除が適用される金額は住宅ローン借入額から超えた分を差し引いた金額となり、超えた分にかかる控除が減らされてしまいます。
このような損な事態を避けるためには暦年贈与が有効です。住宅資金の為の贈与を減らし、その分を暦年贈与として贈与してもらうという方法もひとつです。
暦年贈与についての詳細は下記をご確認ください。 |
3.住宅資金贈与の特例を使うには「住宅性能所証明書」が必要!
住宅資金贈与の特例によって贈与税を非課税に出来る上限は、建てる住宅の性質によって変わります。
例えば、省エネ対策等級や耐震等級、免振建造物かどうか、バリアフリーの程度、低炭素排出基準を満たしているかどうかといったことが評価されます。
これらの基準を満たしていることを客観的に証明することが出来る書類が住宅性能証明書です。この書類によって住宅が住宅資金贈与の特例を適用可能であることを証明することが出来ます。
住宅資金贈与の特例を適用するためには住宅性能証明書を添付することが必須ですので重要な書類です。
4.住宅ローンの借り換えには贈与税に注意
住宅ローンの借り換えをする際には、贈与税が課税されてしまう可能性がありますので注意が必要です。
例えば、共働きの夫婦がそれぞれ半分ずつ住宅ローンを組んでいるとします。その後、ローンの借り換えをすることに決めますが、妻の方が仕事を辞めて専業主婦となっている場合は夫のみが借入人となります。
ローンの借り換えは最初に借りたローンを一度全て返してから、新たにローンを借りることになります。
そのため、上記の例ですと妻のローンを夫が全て返したということになり、夫から妻へ贈与を行ったという事になります。節約するつもりが、逆に費用がかかるということになってしまうため注意が必要です。
まとめ
新たに住宅を建てるという人にとって住宅資金贈与の特例は高い贈与税を非課税にできるという点で利用する方が多いです。
しかし、住宅資金贈与の特例が適用されるには条件もあり、非課税にできる条件もありますのでその仕組みをしっかりと理解しておくことが必要です。また、住宅資金贈与の特例があるからといって贈与を受けすぎると住宅ローン控除が減らされてしまうこともありますので、自分がどれほど贈与を受けることができるのかしっかりと把握しておきましょう。