「お墓参り」の正しいマナーや作法を、自信をもって他人に説明することができますか?
私たち日本人は、物心ついた子供のころから、親や親戚に連れられて、なんとなく見様見真似でお墓参りのマナーやしきたりを身につけてきました。
けれども、あなたが身につけたマナーやしきたりは、「正しい」お墓参りの作法、仕方だと自信をもって言うことができますか?
正しいお墓参りの作法、仕方を勘違いして、誤った習慣のままお墓参りを行ってしまい、ご先祖さまや周りの方を不快にさせている可能性があります。
せっかく時間を割いてお墓参りに行く以上は、正しい作法や仕方でお墓参りを行うことで、ご先祖さまが喜んでくれる先祖供養を行いたいものです。
誰に対しても恥ずかしくない正しいお墓参りの基本的なマナーをおさえておきましょう。
目次
1、お墓参りをする正しい意味とは

お墓参りには「ご先祖様を供養する」という意味合いだけではなく、ひとり一人がご先祖さまのおかげで与えられた貴い命であるということを再認識し、感謝するために行います。
「ご先祖さまのおかげでいま、私はここに生きていられる」という気持ちを伝えましょう。また家族の幸せを祈る意味もこめられています。
2、お墓参りの正しい時期とは?
昔は、自宅の近くの集落にあったため、毎日のように訪問するのが習慣でした。
しかし現代では、生活する場所の近くにお墓があるとは限らず、離れた場所に存在することもあるため、年に数回の訪問となっています。
お墓参りの時期は一般に、春と秋のお彼岸、お盆、お正月、故人の命日、年忌法要、法事などになっています。
もちろん、「この日にお参りしてはダメ」といったような決まりはないので、これ以外の日に訪問しても問題ありません。
たとえば、参拝されようとする方の誕生日、結婚、出産、合格、記念日等の報告を墓前に行う、あるいはともにお祝いをしてもらう気持ちで訪問するとご先祖さまに喜んでもらえると言われています。
それ以外にも、悩みや迷いがある等など、気軽な気持ちで訪問してもいいかもしれません。
3、お彼岸とは?
春のお彼岸は、春分の日(3月20日ごろ、年度による)を中日として、前後三日間、計七日間を「春のお彼岸」といいます。
秋のお彼岸は、秋分の日(9月23日ごろ)を中日として前後三日間、計七日間を「秋のお彼岸」といいます。
お寺によっては、彼岸会(僧侶の法話を聞いたり、厄払いの行事をしたりすること)が行われるところもあります。
4、宗教ごとに違う訪問する日
基本的には故人の命日に訪問しますが、宗教ごとに違いがあります。
<仏教の場合>
- 命日/祥月命日(一周忌以降の亡くなった同月同日)
- お盆 地域によって7月の旧盆、8月の新盆に僧侶を招いて法要をします
- お彼岸
<キリスト教の場合>
- 命日 その他は「カトリック」と「プロテスタント」によって違いがあります
<神道の場合>
- 祥月命日(一周忌以降の亡くなった同月同日)/月命日(毎月の亡くなった日)
- 式年祭(一年祭、二年祭、五年祭、十年祭、以降十年おき)
5、お墓参りの時の正しい服装とは?

新盆や一周忌法要のときは喪服を着用します。しかし、それ以外は、特に決まりはありませんから、どのような服装でも原則自由です。
あなた以外のご家族や親族、地域のしきたりに合わせた服装でよいでしょう。しかし、華美なアクセサリーや、極端な軽装は控えたほうがよいかもしれません。
6、お墓参りを行う正しい時間帯とは?
基本的に、この時間に行ってはいけないという時間帯はありません。
昔はご先祖さまのお参りは仕事やほかの用事よりも大切と考えられ、朝一番や午前中に行うのが一般的といわれており、いまもその習慣は残っています。
7、お墓参りを行う手順について
(1)持ち物チェック
忘れ物がないよう、持ち物をチェックしましょう
<お参りに使う道具>
生花/ろうそく/ライター/お線香/お供え物/数珠/ハンカチ/半紙
<掃除につかう道具>
雑巾/ブラシなど/ゴミ袋/軍手/ひしゃく/バケツ/
(2)挨拶をする
お寺の場合は、お参りするまえに僧侶にご挨拶をしておきましょう。また、本堂にお参りしておくとよいでしょう。
無縁墓やお参りするお墓の両隣にあるお墓にも、手を合わせておきましょう。
(3)掃除をする
お墓についたら、まず掃き掃除をていねいに行います。
それから墓石の周りに生えている雑草や枯草などがあれば、引き抜くか、刈取りをしておきます。ゴミを拾うのも当然ですね。
(4)お墓を清める
用意しておいた手桶やバケツの水をひしゃくですくって、丁寧にお墓へかけていきます。
そのあと、墓石についたこけや、汚れをていねいに雑巾や歯ブラシなどで取り除いていきます。
【注意点】お墓に水をかけたらダメ?墓石をきれいに掃除するとき、お水をかけてはいけない、とする説があります。 |
(5)花を飾る
きれいになったら、花立てに水をいれてお花を飾ります。続いて、お供えものをセットします。
お供え物の下には用意していた半紙を敷き、そのうえに置きます。
お供えものを置く風習のあるお寺、地域と、置かない(おいてはいけない)地域がありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
(6)ローソク・線香を供える
ローソクに火を灯しながら、線香の束に火をつけます。
人数分のお線香を用意してからつけるのが一般的です。
このとき、ローソクの火や、お線香が燃え上がった際に、息を吹きかけて火を消すことはやめておきましょう。
(7)お参りをする
墓石よりも低くする姿勢がマナーですので、しゃがみ、軽く両手をあわせます。手の合わせ方は、右手(仏様)と左手(自分)の指を重ね合わせる方法が一般的ですが、両手の指を交互に重ね合わせる「十二合掌」という仕方もあります。宗派によっては数珠を使った手の合わせ方もあります。
(8)片付けをする
お供え物をおいた場合、帰る時には片づけてから帰りましょう。
そのままにしておくと、猫やネズミなどの動物、カラスなどの鳥がお供え物を荒らし、フンなどをまき散らす恐れがあります。
動物や鳥のフンは、掃除などではなかなか除去が難しいので、きちんとかたづけるのがマナーです。
まとめ
自分のルーツとなるご先祖様を敬い、お墓参りに行くことはとても大切なことですが、その気持ちをきちんと示すために、大人として恥ずかしくないお墓参りのマナーや作法についてきちんと押さえておきましょう。
もし、今のお墓が遠くてお困りの方は、お墓の引っ越し(改葬)を検討してみてはいかがでしょうか?
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